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新任担当課長・課長代理職を前に進めるのは、根性より「役割」と「ゴール」だった― 土台編

目次

新任課長代理・担当課長職を前に進めるのは、根性より「役割」と「ゴール」だった

~昇格後にブレないための上長補佐×組織推進の型~

株式会社中西製作所では、新任課長代理・担当課長職研修を開催しました。
外部講師をお招きし、製造・技術・営業・設計・研究開発など複数部門から受講者が参加。
昇格後に求められる役割・考え方・行動を、実務に接続できる形で学ぶ機会となりました。

※本研修は昇格者(課長代理・担当課長職)を対象に実施しましたが、
内容は個人のスキルにとどまらず、職場全体での意思決定・対話・育成(上長や周囲の関わり)にもつながる観点を扱っています。

はじめに|昇格後に増えるのは、仕事量だけではなく「判断」と「整える仕事」

昇格後の成長というと、どうしても「頑張り方」「時間の使い方」に話が寄りがちです。
もちろん大切です。
でも、現場で詰まりやすいのは、そこより前にある
土台だったりします。

  • 仕事が増えたように感じ、優先順位が崩れる
  • 上長の指示が伝言で終わり、判断の質が上がらない
  • 改善したいのに、何から手をつけるべきか曖昧になる
  • 後輩に教えても再発し、「自分がやった方が早い」に戻る
  • 気づけば抱え込みが増える

この状態で「昇格者として頑張ろう」と言っても、アクセルは踏めません。
だから今回の研修は、精神論を重ねる場ではなく、昇格後に必要な設計の前提を整える場として設計しました。


まず「役割」を作業ではなく価値で見る

研修の入り口は、いきなりスキル論ではありません。
まず行ったのは、役割の捉え直しでした。

昇格後に「仕事が増えた」と感じるのは、能力不足ではなく、役割の定義が変わるからです。
プレイヤーとして自分がやるだけでなく、上長の意思決定が良くなる条件を整えるチームが動ける条件を整えることが役割に入ってきます。

ここが腹落ちすると、仕事の優先順位が変わります。
「目の前を回す」から、「目的に向けて整える」へ。
昇格者の価値は、ここで一段上がります。

言い換えるなら、昇格後に増えるのは「仕事量」だけではなく、
「判断の仕事」「整える仕事」です。

この二つを引き受けた瞬間、仕事の見え方が変わります。

視座を上げると、同じ問題でも見え方が変わる

次に扱ったのが、「視座」です。
視座は、単なる視野の広さではなく、
「どこから物事を見るか」という立ち位置の話です。

昇格直後は、どうしても短期視点に寄りがちです。
たとえば、今日の納期今日のトラブル今日の対応
でも、昇格者に求められるのは、今だけの正解ではなく、再発防止・後工程・育成・半年後のリスクまで含めた見立てです。

たとえば、同じトラブルでも、

  • 現場対応で終えるのか(短期)
  • 原因を構造化して再発を止めるのか(中期)
  • 人が育つ形に落とすのか(長期)

視座が上がると、問題のサイズが変わります。
そして、打ち手が「頑張る」から「設計する」に変わります。

ここがいちばん実務的で、
視座が上がると、「抱える」から「割る・止める・整える」へ移れる。
これが昇格後の強さになります。

VUCA時代は「早く正しく決める」より、仮説→検証で前に進む

研修では、環境変化(VUCA)を前提に、昇格者に必要な意思決定の考え方も扱いました。
情報が多い時代ほど、判断は難しくなります。
常識が非常識になることもある。

だからこそ、答えを当てにいくより、仮説を立てて、検証して、修正するほうが現場は強くなります。

ここで重要になるのが、次に出てくる「ゴール」です。
ゴールが曖昧だと、仮説も検証も、回すこと自体が目的になってしまう。
逆に、ゴールが明確だと、意思決定は速くなります。

言い換えると、

ゴールがあると迷いが減る。迷いが減るとスピードが出る。

これが、VUCA時代の現実解です。

ゴールが曖昧だと、PDCAは回しているだけになる(ゴール起点の仕事)

研修の中核がここです。
「問題=現状とあるべき姿のギャップ」であり、PDCAはゴールに到達するための手段にすぎない
だから出発点は、ゴール設定です。

この整理が入ると、忙しさの正体が見えてきます。
「頑張ってるのに進まない」の多くは、能力ではなく、ゴールが曖昧なまま回していることが原因だったりします。

現場で起きやすいのは、こういう状態です。

  • 手段(作業)が増える
  • 会議が増える
  • 報告が増える
  • でも、ゴールに近づいている実感が薄い

ゴール起点に戻ると、「やらないこと」が決まります。
昇格後に必要なのは、まさにこの判断です。

昇格者の仕事は、頑張ることより、
やらないことを決めて、チームの時間を取り戻すことでもあります。


読者が今日から使える|昇格後の最小セット(役割→視座→ゴール)

最後に、研修内容を持ち帰れる形に圧縮します。
これだけでも、日常の打率が上がります。

(1)役割を30秒で言い換える

  • 「自分がやることは何か?」ではなく
    「自分がいることで、誰の判断が良くなるか?」に変える

(2)視座を上げる3つの問い

  • 「後工程で困るのは誰?」
  • 「半年後も同じ問題が起きる?」
  • 「仕組みで止めるなら何が要る?」

(3)ゴール起点で仕事を整える(3分)

  • あるべき姿は?
  • 現状は?
  • ギャップは?
  • まず何を変える?(最小の一手)

※会議前/報告前/改善に着手する前に、この3点を回すだけでも、「忙しさ」「前進」に変わりやすくなります。


おわりに|昇格後に必要なのは、努力より「役割」と「ゴール」の設計

課長代理・担当課長職になって最初に起きる混乱は、能力不足ではありません。
多くは、役割の定義ゴールが曖昧なまま走ることから生まれます。

今回の研修前半で扱ったのは、その混乱をほどくための土台編としての学びでした。

  • 役割を価値で捉え直すこと
  • 視座を上げて見立てること
  • VUCA前提で仮説検証を回すこと
  • ゴール起点で「やる/やらない」を決めること

こうした土台が整うと、昇格後の仕事は、ただ頑張るものではなく、判断し、整え、前に進める仕事へと変わっていきます。
今回の研修は、その入口となる土台編の時間でした。

次回では、この土台を踏まえ、後半の核である
「後輩育成の成長メカニズム」「1on1の実装」「フィードバック(人と事を切り分ける)」「関係の質を上げるコミュニケーション」
を中心に、実業務に活きる育成・対話の実装編へと落とし込んでいきます。

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