プレゼンが上手い人は、話し方より先に「設計」をやっている
~伝える⇔伝わるの型~
株式会社中西製作所では、プレゼンテーション研修を開催しました。
外部講師をお招きし、複数部門から48名が参加。オンライン形式の半日プログラムとして開催しました。
はじめに|プレゼンが詰まるのは、話し方の前に「設計」が曖昧だから
プレゼン研修というと、「スライドの作り方」や「話し方のテクニック」が主役になりがちです。
もちろん大事です。でも、現場で詰まりやすいのは、その手前にある日常だったりします。
- 説明したのに、相手が動かない
- 情報は出したのに、ポイントが残らない
- 丁寧に話したのに、「で、結論は?」と言われる
- 資料を作ったのに、会議が長くなるだけで決まらない
この状態で「話し方を上手くしよう」と言っても、アクセルは踏めません。
だから今回の研修は、テクニックを積み上げる場ではなく、伝わる状態を設計する場として組み立てました。
まず「ゴール」を決める
研修の入り口は、いきなり「話し方の上手さ」ではありません。
まず行ったのは、相手に何をしてほしいか(ゴール)を決めることでした。
ポイントは、言いたいことを先に出さないことです。
プレゼンの勝敗は、内容の良し悪しより、目的と対象者が合っているかで決まります。
たとえば同じ会社紹介でも、
- 採用向け
- 取引先向け
- 社内共有向け
では、必要な情報も、順番も、粒度も変わります。
だから最初にやるべきは、ここです。
ゴール設定の基本
(1)メインゴール:プレゼン後、相手にどんな行動を取ってほしいか
(2)サブゴール:相手にどんな理解・納得・安心が残れば成功か
オンラインだと特に、相手の反応が見えにくくなります。
だからこそ、ゴール設定がブレると、「伝えたつもり」で終わりやすい。
逆に言うと、ゴールが決まるだけで、構成は一気に締まります。
相手が「イメージできる」ように話すと、伝わり方が変わる
次に効いたのが、抽象のまま走らないことです。
伝わらない原因は、「情報不足」より「イメージできないこと」にある場合が多い。
ここでのポイントは、話を映像化する技術です。
- 抽象 → 具体例(まず言い切って、具体を一発入れる)
- 数字/データ(客観性を足す)
- たとえ(既知のものに置き換える)
- 対比(Aを言うならBを置く)
- 実物/画像(見せることで理解を短縮する)
オンラインは集中が切れやすいので、
抽象 → 具体 → 数字(またはたとえ)の流れが特に効きます。
「わかる」が増えると、自然と「納得」が始まります。
ロジックで納得を作る(主張・根拠・事実の三点セット)
「伝わる」と「納得する」は別です。
納得を作るには、ロジックが必要になります。
核はシンプルで、
主張(結論)→ 根拠(理由)→ 事実(データ・事例)の三点セットです。
ありがちな詰まりはここです。
- 主張はあるが、根拠が弱い
- 根拠はあるが、事実(裏付け)がない
- 事実はあるが、主張につながっていない
この整理ができると、会議も提案も通りやすくなります。
さらに、現場で使いやすい型としてPREP法が効きます。
- P:結論(こうしたい)
- R:理由(なぜ必要か)
- E:根拠(数字・事実・観測)
- P:再結論(だからこうする)
オンライン会議ほど、PREPは武器になります。
話が散ると、伝わる前に離脱されるからです。
情報が多いほど「構造」が勝つ(MECE→ピラミッドで整理する)
プレゼンが苦手に見える人の多くは、話し方より先に「整理」が詰まっています。
ここを、フレームでほどいていきます。
- MECE:漏れなくダブりなく(切り口で整理する)
- ピラミッド:結論 → 根拠 → 具体の階層で組む
上から 「why so?」 で根拠チェック
下から 「so what?」 で結論チェック
情報量が多いときほど、構造がないと破綻します。
逆に、構造さえあれば、話し方は後から整います。
「話せる人」より、「整理できる人」が強い。
この感覚が腹落ちしたのが大きかったです。
読者が今日から使える|プレゼン設計の最小セット
最後に、研修内容を持ち帰れる形に圧縮します。
これだけでも、明日からの打率が上がります。
(1)ゴールを1行で書く
- メインゴール:相手にしてほしい行動
- サブゴール:相手に残したい理解/納得
(2)PREPで1分設計
- 結論 → 理由 → 根拠(数字・事実)→ 再結論
- ※根拠は「観測」ではなく、「事実」寄りにするほど強い
(3)抽象 → 具体 → 数字(or たとえ)を必ず1セット入れる
- 相手の脳内に映像を作る
- オンラインほど効く
(4)3点に絞って話す(情報を削る)
- 言いたいことが多いほど、聞き手は迷子になる
- 「削る=捨てる」ではなく、「順番を変える/別資料に逃がす」
おわり|プレゼンを前に進めるのは、センスじゃなく「設計」
プレゼンは、才能やノリで勝つものではありません。
現場で本当に効くのは、ゴールを決め、相手の前提に合わせ、納得の構造をつくることです。
今回の研修前半で扱ったのは、その土台となるプレゼン設計の型でした。
相手に何をしてほしいのかを定めること。
抽象のまま話さず、具体や数字でイメージできる状態をつくること。
主張・根拠・事実をつなぎ、ロジックで納得を生むこと。
そして、情報を構造化し、伝わる順番に整理すること。
こうした土台が整うと、プレゼンは「うまく話せるか」の勝負ではなく、
「相手が理解し、動ける状態をどう設計するか」の勝負に変わります。
今回の研修は、その出発点となる設計編の学びでした。
次回では、この土台を踏まえて、1スライド1メッセージ、簡潔さ、レイアウト、改善、場づくりといった、
実務で再現できる資料設計と運営設計の実装編へと進みます。
プレゼンを「わかった」で終わらせず、「現場で使える」に変える後半編を整理していきます。















