完全栄養食と呼ばれる卵の栄養価とは?効果的な食べ方や注意すべきポイントを解説

目次
家庭でお馴染みの食材である卵は、栄養価の高さから「完全栄養食」とも呼ばれており、私たちの健康維持や栄養補給に役立っています。
では、卵には具体的にどのような栄養素が含まれているのでしょうか。
今回は、卵に含まれる栄養素や栄養を無駄なく摂取するのにおすすめの調理方法を解説します。
また、卵を食べる際に気を付けておきたいポイントについても説明しますので、ぜひこの記事を参考に卵の栄養面についての理解を深め、効果的に栄養を摂取できるよう、日々の食生活に取り入れていただけたら幸いです。
卵は「完全栄養食」と呼ばれるほど栄養価が高い

卵は「完全栄養食」とも呼ばれ、バランスよく豊富な栄養素を摂れることで知られています。
完全栄養食とは、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」に基づき、健康維持に必要な栄養素が、1食分で十分に摂取できる食品を指します。
卵は本来ヒヨコに成長するために必要な多くの栄養素を含んでおり、その中でも良質なタンパク質を多く含んでいるのが特徴です。
卵は近年値上がりしているものの比較的手頃な値段で入手でき、さまざまな料理に活用できるため、効率的に栄養を摂取できる食品として、子どもから大人まで広く親しまれています。
卵の栄養成分とそれぞれの機能

卵が栄養豊富な食べ物であることはご存知かと思いますが、具体的にはどのような栄養素をどれくらい含んでいるのでしょうか。
食品成分データベースによると、卵1個(50g)には、以下のような栄養成分が含まれています。
【卵1個(全卵/生/50g)の基本栄養成分表】
| 栄養成分 | 含有量 |
| タンパク質 | 6.1g |
| 脂質 | 5.1g |
| 炭水化物 | 0.2g |
| エネルギー | 71kcal |
| カルシウム | 23mg |
| マグネシウム | 5mg |
| 鉄 | 0.8mg |
| 亜鉛 | 0.6mg |
| ビタミンA | 110μg |
| ビタミンD | 1.9μg |
| ビタミンE(α-トコフェロール) | 0.7.mg |
| ビタミンK | 6.0μg |
| ビタミンB1 | 0.03mg |
| ビタミンB2 | 0.19 mg |
| ビタミンB6 | 0.05mg |
| ビタミンB12 | 0.6μg |
ここでは、卵の主な栄養素とそれぞれが持つ役割について説明します。
タンパク質|体の健康維持に欠かせない
卵1個(Mサイズ)あたりのタンパク質量は約6.1gとされており、成人の1日に必要なタンパク質の10%程度を卵1個から摂取できるとされています。
タンパク質をつくる20種類のアミノ酸のうち、人間の体内で合成できず、食事から必要量をとらなければならないアミノ酸9種類を「必須アミノ酸」と呼びます。
食品に含まれる必須アミノ酸のバランスを数値化したものを「アミノ酸スコア」と呼びますが、卵はこの数値が100です。
これは、体内で作ることのできない9種類の必須アミノ酸(リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、トリプトファン)が、人間の体が必要とする基準量をすべて満たしていることを意味します。
タンパク質は、筋肉や髪、爪、皮膚など、人間の体を作るのに不可欠な栄養素であり、基礎代謝を上げて脂肪を燃焼しやすくする効果も期待できる大切な栄養素です。
脂質|効率良く摂取できるエネルギー源
卵1個あたりの脂質は約5.1gで、卵に含まれる脂質のほとんどは卵黄に集中しています。脂質は控えた方が良いと考えられがちですが、摂取量に気をつけることができれば、効率の良いエネルギー源となります。
卵の卵黄に含まれる脂質の約3割程度が「リン脂質(レシチン)」で、脳や神経組織、細胞膜を作る重要な物質です。また、リン脂質の重要な成分である「コリン」には、認知症の予防や改善にも効果が期待できるとされています。
ただし、過剰摂取すると血中コレステロール値が上昇する方もいるため、LDLコレステロールが高めの方は摂取量に注意するようにしましょう。
ビタミン|体を正常に機能させる
卵には、ビタミンC以外のすべてのビタミンが含まれており、それぞれ以下のような役割を果たします。
- ビタミンA(皮膚や目、粘膜の健康維持や免疫力の向上)
- ビタミンB群(糖質や脂質の代謝のサポート、エネルギー生成の促進)
- ビタミンD(カルシウムの吸収をサポートし、歯を丈夫に保つ)
- ビタミンE(強い抗酸化作用を持ち、老化や生活習慣病の予防に役立つ)
ビタミンはヒトの体を正常に機能させるのに大切な栄養素ですが、体内ではほとんど作られないので卵から効果的に摂取できるのは嬉しいポイントです。
ミネラル|体のコンディションを整える
卵にはカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛といったミネラル成分も含まれています。ミネラルは体内で合成できないことから食事から摂取する必要がありますが、卵1個でさまざまな種類のミネラルを効率的に摂取することができます。
中でも、カルシウムや鉄分などのように日本人に不足しがちな栄養成分が補える点がメリットです。
カルシウムは骨や歯の健康維持、鉄は貧血の予防、マグネシウムはエネルギー代謝のサポート、亜鉛は免疫機能の維持などの効果が期待できます。
卵では足りない栄養素
卵はさまざまな栄養素をバランスよく含んでいる食品ですが、卵にほとんど含まれていない栄養素として「ビタミンC」と「食物繊維」があります。
ビタミンCは抗酸化作用や鉄分の吸収をサポートするのに役立つ栄養素です。そして、食物繊維には腸内環境を整える働きがあります。
これらの栄養素は卵では十分に補えないため、卵だけでなくビタミンCや食物繊維を多く含む野菜や果物、海藻類なども意識的に摂取すると良いでしょう。
卵は1日どれくらい食べてよい?

朝昼晩、どのタイミングでもさまざまな料理に手軽に使用できる卵ですが、1日何個まで食べてもよいのでしょうか。中には、「卵は1日1日まで」と聞いて制限している方もいるでしょう。
結論として、卵を食べる個数に制限はありません。かつては、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」でコレステロールの摂取量の上限を定めており、卵にコレステロールが多く含まれていることから、「1日1個まで」とされていました。しかし、十分な科学的根拠がなかったため、2015年の改定でコレステロール摂取の上限量が撤廃されました。
ただし、脂質異常症の方は重症化させないためにコレステロールを抑えるのが望ましいとされています。また、食事ではさまざまな食材から栄養をバランス良く摂るのが良いとされているので、健康な方は卵は1日1〜2個までを目安にすると良いでしょう。
栄養が変わる!卵のベストな調理法とは

栄養が豊富な卵は、生で食べることもできますし、焼いたり、茹でたりと、さまざまな調理方法で美味しく食べることができます。
ですが、卵は調理方法によって摂取できる栄養成分も変わってくるのです。
ここでは、栄養吸収効率を高める卵の調理方法についてご紹介します。
生卵|ビタミンB群の栄養摂取におすすめ
日本では卵かけご飯が好まれていますが、生卵は熱に弱いビタミンB群を効率よく摂取しやすいとされています。また、カラザに含まれるシアル酸という成分には、免疫力を高める働きがありますが、シアル酸は生で食べることで摂取することが可能です。
ただし、生卵はサルモネラ菌による食中毒のリスクが少なからずあるほか、卵を加熱した方がタンパク質の吸収率が高まる傾向にあるため、生卵で食べるデメリットも考慮しましょう。
ゆで卵|卵の栄養を効率的に摂取
ゆで卵はサルモネラ菌などの食中毒菌が死滅するため、生卵と比較して安全に食べることが可能です。
また、生卵よりもタンパク質が体に吸収されやすくなるので、卵の栄養を最も効率的に摂取できる調理法といえます。
そして、皮膚や粘膜、髪、爪の健康維持に不可欠な水溶性ビタミンである「ビオチン」という栄養素を摂取するのに効果が最も期待できるのがゆで卵です。
さらに、卵は茹でるとタンパク質が固まる性質があり、生卵よりも消化や吸収に時間がかかるため、腹持ちが良くなります。長時間満腹感を持続させる可能性があることから、ダイエット食としてもよく用いられます。
温泉卵・半熟ゆで卵|体に負担をかけずに満遍なく栄養摂取
ゆで卵と同様、含まれる栄養の種類に極端な違いはありませんが、体に負担をかけずに卵の栄養を吸収するには、温泉卵や半熟ゆで卵などのとろとろの半熟状態が最も適しています。
特に、低温でゆっくりと加熱する温泉卵は消化吸収率がアップし、胃腸が弱いときでも美味しく食べられるでしょう。
また、温泉卵であれば、ゆで卵よりも加熱時間が短いため、ビタミンB群などの栄養成分の減少を抑えることも期待できます。
オムレツ|他の食材と組み合わせて栄養価アップ
卵を加熱調理するオムレツは、他の食材と組み合わせると栄養価を高めることが期待できます。
オムレツは、タンパク質やビタミンB群、鉄分、亜鉛などの栄養素を摂取できるほか、キノコや野菜など、調理する食材によっては、卵だけでは摂取できないビタミンCや食物繊維も補えます。
また、チーズを加えることで、脂溶性ビタミンの吸収率向上が期待できます。
卵の取扱いにおける注意点

日常の食事でもよく食べることの多い卵ですが、取扱いについて以下の点には注意が必要です。
- サルモネラ菌の増殖
- 卵アレルギー
- 食べ過ぎによるリスク
卵には食中毒やアレルギーといった健康リスクがあります。それぞれ詳しく説明しますので、危険性を把握し、対策をとりましょう。
サルモネラ菌の増殖に注意
食中毒を引き起こす菌の一種であるサルモネラですが、卵はサルモネラの代表的な食中毒原因としても知られています。
サルモネラは10℃以上、特に20℃以上になるとよく増殖するとされており、十分な加熱によって死滅します。ただし、日本では卵を生で食べる文化もあるため、その取り扱いには十分注意しなければなりません。
具体的には、以下のように保管・調理するのを意識しましょう。
【保管方法】
- 賞味期限をよく確認する
- 購入した卵はすぐ冷蔵庫へ入れる
- 調理のために冷蔵庫から取り出した卵を室温で放置しない
- 卵の殻を洗ってから冷蔵庫に入れて保管しない
【調理方法】
- 賞味期限が過ぎている、ヒビが入っている卵は十分に加熱してから食べる
- 割卵、混合後は素早く調理する
特に、妊娠中の女性や高齢者、乳幼児、免疫機能が低下している方などはなるべく生卵を食べるのを避け、菌による影響を受けないよう、十分に加熱した卵料理を提供するのが望ましいです。
卵アレルギーに注意
卵を食事に取り入れる場合は、小さな子どもに発症することが多い「卵アレルギー」に注意が必要です。
卵アレルギーは、乳児期から幼児期にかけて最も多い食物アレルギーで、卵白に含まれるタンパク質に反応するケースが多いです。特に、生卵や半熟卵のように十分火が通っていない卵や、ケーキ、プリンのような加工食品にも気をつける必要があります。
日本では、1歳児の約10%が卵アレルギーを持っているといわれており、成長とともに自然に治る場合が多いですが、症状の出方には個人差もあるため、卵アレルギーの程度や、食べられる卵の範囲などについては、専門医に相談しながら進めるのが望ましいです。
卵の食べ過ぎによるリスクを考える
栄養価が高い卵ですが、だからといって食べ過ぎると人によっては逆に体の害となってしまう恐れがあります。卵に含まれる飽和脂肪酸にはLDLコレステロールの増加を招き、動脈硬化を促進して、脳梗塞や心筋梗塞といった健康リスクを高める可能性があります。
卵をたくさん食べるほど飽和脂肪酸の摂取量が増えるため、これらのリスクを高める危険性があるのです。
そのため、卵を食べるときには、飽和脂肪酸に注意を払い、食べ過ぎないことを心掛けましょう。
栄養価が高い卵を食事に取り入れよう

卵はタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど豊富な栄養素を含んでおり、手軽に日々の食事に取り入れることができる重要な食材です。
加熱時間や調理方法などによって摂取できる栄養成分が異なるため、それぞれの特徴をよく把握して、効率的に、そして美味しく栄養を摂取できるよう考えてみてください。
また、卵にはビタミンCと食物繊維など、含まれていない栄養素もあるため、野菜やキノコ、チーズなど、さまざまな食材と組み合わせて取り入れるのがおすすめです。
ぜひこの記事を参考に、栄養価が高くて美味しい卵料理を取り入れていただけたらと思います。










