中西製作所(以下、当社)では、海外の学校給食の様子や、世界各国に普及し始めている日本式学校給食の状況について調査を行っています!
これまで韓国と台湾を調査し、調査結果を皆様にわかりやすくお届けしています。
これまで韓国と台湾を調査し、調査結果を皆様にわかりやすくお届けしています。

第3弾目となる今回はタイを調査しました!
タイはスパイスが効いた多彩な料理で知られ、ストリートフードや高級レストラン等、幅広く楽しめる食文化が豊かです。
また、急速な経済成長を遂げた一方で、都市部と農村部、富裕層と貧困層の間の経済格差が大きな課題となっています。
多様性の国、タイの学校給食をご紹介します!
タイはスパイスが効いた多彩な料理で知られ、ストリートフードや高級レストラン等、幅広く楽しめる食文化が豊かです。
また、急速な経済成長を遂げた一方で、都市部と農村部、富裕層と貧困層の間の経済格差が大きな課題となっています。
多様性の国、タイの学校給食をご紹介します!
目次
タイの学校給食の歴史
タイの学校給食の歴史は第二次世界大戦後、小学校で初めての試みとして給食プログラムが導入された1952年から始まりました。
やがて全ての小学校で昼食プログラムを実施する方針が打ち出され、1987年から実施。その後、1992年に小学校向け昼食プログラム基金設立法(以下、昼食基金法)が制定されました。昼食基金法で対象となっている学校のうち、主に公立校では幼稚園から小学校まで給食費は無償となっています。
やがて全ての小学校で昼食プログラムを実施する方針が打ち出され、1987年から実施。その後、1992年に小学校向け昼食プログラム基金設立法(以下、昼食基金法)が制定されました。昼食基金法で対象となっている学校のうち、主に公立校では幼稚園から小学校まで給食費は無償となっています。
タイの学校給食の特徴
給食の運営
調査したところ、日本ではお馴染みである自治体が運営する給食センターはありませんでした。
100人規模の学校では調理員を雇って校内の調理場を整備する方式、300人位を超える学校では各校が業者と調理済昼食の提供の契約を結ぶ方式も多くなってくるようです。
100人規模の学校では調理員を雇って校内の調理場を整備する方式、300人位を超える学校では各校が業者と調理済昼食の提供の契約を結ぶ方式も多くなってくるようです。
献立立案業務のプログラム化
タイでは栄養士の設置義務はありません。献立立案も栄養士ではなく、各学校の教職員が対応しています。
そのため、タイでは献立立案業務に関わる教職員の負荷を軽減するため、「Thai School Lunch」と呼ばれるクラウドプログラムが利用されています。
そのため、タイでは献立立案業務に関わる教職員の負荷を軽減するため、「Thai School Lunch」と呼ばれるクラウドプログラムが利用されています。

各校の献立実績をビッグデータとして蓄積し、その献立データをどの学校でもコピーして利用できるようにしています。
献立と人数を選択すると、必要な食材および量が自動計算されたり、栄養価の情報も基準値内かどうか表示されるようになっていたりと、誰でも献立立案が出来る仕組みが作られていることがわかりました。
献立と人数を選択すると、必要な食材および量が自動計算されたり、栄養価の情報も基準値内かどうか表示されるようになっていたりと、誰でも献立立案が出来る仕組みが作られていることがわかりました。
学校給食の様子
タイではどのように給食の時間を過ごしているのでしょうか。
タイ教育省の昼食マニュアルに掲載されている写真と聞き取りから調べてみました!
タイ教育省の昼食マニュアルに掲載されている写真と聞き取りから調べてみました!
タイの給食では、飲み物は飲料水が無料で用意されているのに加え、自分で学校内の売店や校門前の屋台で清涼飲料水を購入することや、水筒を持参することが許容されていることがわかりました。
また、食事は教室ではなく、食堂に移動します。中学生以上はフードコート式となり、食堂にある屋台で各自が好きなものを購入して食べるようです。

タイではベンジャロン、セラドン、ブルーホワイトの三大陶器が有名ですが、資料を見る限り、使っている食器は銀皿のワンプレートが多いこともわかりました。

日本式学校給食の面影
タイでは日常的に目上の人へ挨拶をする際に手を合わせる習慣があります。そして、その様子は食事を食べる前の場面でも見られ、食事や調理者へ感謝が込められているようです。
また、日本では食事の配膳や片付けは子どもたちが自分で行うのに対し、タイでは配膳は調理員や教職員が、片付けは子どもが行っている等、日本と似た光景が見られました。
また、日本では食事の配膳や片付けは子どもたちが自分で行うのに対し、タイでは配膳は調理員や教職員が、片付けは子どもが行っている等、日本と似た光景が見られました。

「世界一の格差を抱える国」タイ
2018年にスイスの金融機関クレディ・スイスが発表した統計で、タイは人口の上位1%の富裕層が持つ富が全体の67%を占めるとわかりました。
タイは、急速な経済成長を遂げた一方で、都市部と農村部、富裕層と貧困層の間の経済格差が大きな課題となっています。
これに対し、給食に関連する部分の国の取り組みとしては、15年間教育費無償化政策や昼食基金法による給食費無償化、それに上乗せされた補助金の支給等が挙げられます。しかし、政府からの予算で賄えない分は保護者に支援を求めなければならない状況が続いています。
補助金は食材費や人件費に充てられ、設備購入には使えません。また、地方の小規模校では調理者を雇うまでの予算が足りずに教員が調理補助に当たる例もあるそうです。対して私立校では、保護者から徴収している学費で充分賄うことができるため、補助金の申請もしていない学校もあるとのことでした。給食ひとつをとっても、経済格差が大きいことが容易に想像できます。
タイは、急速な経済成長を遂げた一方で、都市部と農村部、富裕層と貧困層の間の経済格差が大きな課題となっています。
これに対し、給食に関連する部分の国の取り組みとしては、15年間教育費無償化政策や昼食基金法による給食費無償化、それに上乗せされた補助金の支給等が挙げられます。しかし、政府からの予算で賄えない分は保護者に支援を求めなければならない状況が続いています。
補助金は食材費や人件費に充てられ、設備購入には使えません。また、地方の小規模校では調理者を雇うまでの予算が足りずに教員が調理補助に当たる例もあるそうです。対して私立校では、保護者から徴収している学費で充分賄うことができるため、補助金の申請もしていない学校もあるとのことでした。給食ひとつをとっても、経済格差が大きいことが容易に想像できます。
まとめ
海外の学校給食シリーズ、第3弾タイ編はいかがでしたか。
東南アジアには、中所得国かつ貧富の差を抱える国が多く存在します。
今回は給食を切り口にタイの経済状況にも触れましたが、各国の経済状況が教育の一部である給食においても現れていることがわかりました。
中西製作所は、今後も海外の学校給食の調査を続けていきます。ぜひまたご覧ください。
この記事は2024年8月時点の中西製作所による調査によって制作いたしました。間違い等がございましたら修正いたしますので、ご連絡のほどよろしくお願いいたします。
【参考・引用文献】
1)Bangkok Post Group発行のWEBニュース(M2F:Monday to Friday)
2019年4月19日発行 「学校調理室の衛生監査」, https://www.m2fnews.com/news/bkknews/column/klaitook/47404 (最終閲覧2024年8月22日)
2) タイ教育省昼食マニュアル, https://www.obec.go.th/archives/1013752 (最終閲覧2024年9月9日)
東南アジアには、中所得国かつ貧富の差を抱える国が多く存在します。
今回は給食を切り口にタイの経済状況にも触れましたが、各国の経済状況が教育の一部である給食においても現れていることがわかりました。
中西製作所は、今後も海外の学校給食の調査を続けていきます。ぜひまたご覧ください。
この記事は2024年8月時点の中西製作所による調査によって制作いたしました。間違い等がございましたら修正いたしますので、ご連絡のほどよろしくお願いいたします。
【参考・引用文献】
1)Bangkok Post Group発行のWEBニュース(M2F:Monday to Friday)
2019年4月19日発行 「学校調理室の衛生監査」, https://www.m2fnews.com/news/bkknews/column/klaitook/47404 (最終閲覧2024年8月22日)
2) タイ教育省昼食マニュアル, https://www.obec.go.th/archives/1013752 (最終閲覧2024年9月9日)