EXPO2025大阪万博
「ウズベキスタン」体験レポート
〜知識の庭で出会う未来と伝統〜

大阪・関西万博では、世界各国が独自の知恵や文化を持ち寄り、未来の社会を形づくるヒントとなるパビリオンが数多く並んでいます。

その中でも、中央アジアの魅力と先進的な発想を融合させたのが、『知識の庭』をテーマとしたウズベキスタンパビリオンです。

今回は、実際にウズベキスタンパビリオンを訪れた様子をレポートします。

『知識の庭』のはじまり

ウズベキスタンパビリオンは会場の西ゲート近く、三角形の敷地に位置しています。外観は落ち着いたベージュ色で、周囲の景観に調和しながらも独自の存在感を放っていました。

建物のデザインは、同国の伝統的なお守り「チュマール」から着想を得たもので、「来場者を守り、知識と文化を未来へつなぐ」という意味が込められています。

パビリオンは二層構造で、1階が「土壌」、2階が「森林」を表現しています。外壁には淡路島産の土が使われており、断熱性と温かみのある質感が特徴です。

設計・施工には、日本とウズベキスタンの職人が協力しており、伝統技術とサステナビリティを両立させた建築となっています。

暗闇に浮かぶ未来像

入館後は、30人ほどのグループに分けられ、ガイドの案内に従って展示エリアに入場します。

1階の展示エリアは照明が極めて抑えられており、暗闇の中で展示物だけが光に浮かび上がっていました。内容はクリーンエネルギーやインフラ、文化などに関する模型や映像パネルが中心で、ウズベキスタンの技術と社会の取り組みが紹介されています。

各展示には解説文が表示されますが、すべてを網羅するには時間が限られているため、内容をすべて読む前に次の展示に移ることもありました。

全体として、光と闇のコントラストが印象的な空間でした。

映像エレベーターでの没入体験

1階の展示を見終えると、円柱型の映像エレベーターに乗り、次のフロアへ移動します。エレベーターは壁面すべてがスクリーンになっており、乗り込むと360度の映像体験が始まります。

映像は地中に広がる木の根や微生物の世界から始まり、幾何学模様、神殿建築、少年の姿、田舎や都市の風景、そして光を放つ木々の映像へと移り変わっていきます。

演出の完成度は非常に高く、視覚的な没入感も強くありました。背景や意図の説明がシンプルな分、来場者それぞれが自由に解釈し、想像を広げられる構成になっていました。

木々に囲まれる『知識の庭』

映像エレベーターを出ると、屋上エリアに設けられた『知識の庭』と呼ばれるスペースに出ます。ここでは国産のヒノキが柱状に並び、まるで森の中を歩いているかのような空間が広がっています。

太陽の光が柱の間から差し込み、影の模様が刻々と変化する中、来場者は自由に歩いたり立ち止まったりして、この空間を楽しんでいました。木の香りが感じられるなど、五感に訴える設計となっています。

なお、このヒノキは万博終了後にすべてウズベキスタンへ運ばれ、現地の学校や公共施設で再利用される予定です。環境への配慮と資源の再活用という面でも意義深い取り組みです。

文化交流と未来へのメッセージ

このパビリオンでは、日本とウズベキスタンの協力関係が建築や展示内容を通じて感じられました。淡路島産の土壁や国産ヒノキの活用、両国の職人による共同制作など、国際的な連携の成果が随所に見られます。

全体を通して伝わってくるのは、「知の継承」というテーマです。伝統と先端技術、自然との関わりを通じて、訪れた人が未来を考えるきっかけとなる展示が随所に散りばめられていました。

説明をコンパクトにまとめていた印象ですが、建築や空間が持つ説得力によって、多くを語らずとも十分にメッセージが伝わる構成になっていたと感じます。

大阪・関西万博を訪れる際には、ぜひこの『知識の庭』を訪れてみてはいかがでしょうか。

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