EXPO2025大阪万博
「オーストリア館」体験レポート
~音と未来を『作曲』する場所~

2025年大阪・関西万博では、世界各国のパビリオンがそれぞれの個性と未来へのメッセージを表現しています。

その中でも、音楽を軸に据えた展示が特徴の「オーストリア館」は、訪れる人の参加を前提とした体験型のパビリオンです。「未来を作曲する」というテーマのもと、来場者が受け身ではなく、音や映像を通して主体的に関わることで、印象に残る展示体験ができるよう構成されていました。

今回は、実際に現地を訪れた体験をもとに、展示や体験内容を詳しくご紹介します。

赤と白のオブジェが印象的な建築デザイン

オーストリア館に近づくと、赤と白の大きなオブジェが目に入ります。これは国旗と楽譜をモチーフにしたデザインで、渦を巻くような曲線が特徴的です。

四角形の建物本体との対比も印象的で、建築全体にオーストリアらしさが表れているように感じられました。

建築にはオーストリア産の木材が使用されており、持続可能性を意識して設計されています。

シアター映像で学ぶ日墺の文化交流

入館後、最初に案内されたのは半円形のシアタールームです。

中央には、世界三大ピアノの1つであるオーストリアのピアノメーカー・ベーゼンドルファー社の特注グランドピアノが設置されており、外装には葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』が描かれていました。

上映される映像では、日本とオーストリアの交流の歴史がわかりやすく紹介されており、音楽に合わせて動くキャラクターが子どもにも親しみやすい印象を与えていました。

歴史や文化を堅苦しく伝えるのではなく、映像と音を通して自然に理解できる構成になっています。

音楽をテーマにした展示エリア

シアターを出ると、次に展示エリアへ進みます。内部は、細い通路に沿って展示が並ぶ構成で、床や案内表示にも音符の形を取り入れるなど、全体的に音楽を意識したデザインが施されています。

展示では、オーストリアの経済、建築、科学技術などが紹介されており、各所に著名人の言葉が添えられていました。パネルや映像を見ながら歩くだけでなく、来場者自身が参加できるコンテンツも用意されています。

また、来場者の顔写真をイラスト風に加工して持ち帰ることができる体験型コンテンツもあり、記念に残る仕掛けとして来場者から好評を集めていました。

展示全体は、見学・体験・記録がバランスよく組み合わされており、幅広い層が楽しめる内容です。

合奏体験ができるシアター「未来の大聖堂」

展示エリアを抜けると、「未来の大聖堂(Cathedral of the Future)」と呼ばれる円筒形のシアタールームがあります。

ディスプレイに囲まれた中で、来場者はタッチパネルを操作し、音やリズム、テーマを選びながら曲づくりに参加します。AIと連動したシステムにより、複数人の選択がひとつの楽曲としてリアルタイムで再構成される仕組みです。

このような来場者が参加できるインタラクティブな演出により、「未来を作曲する」というテーマが抽象的な理念ではなく、実際に体験として理解できる形になっていました。

芸術と技術が融合するパビリオン演出

オーストリア館のもう一つの特徴は、音楽という伝統文化と、最新技術を融合させた展示演出です。

パビリオン内には、ウィーン少年合唱団やモーツァルトなど、オーストリアの象徴的な文化要素も随所に取り入れられており、伝統へのリスペクトが感じられました。特別なピアノの展示や、タイミングによっては実際の演奏が行われるイベントもあるようです。

さらに、館内ではオーストリアのスイーツや飲み物も提供されており、味覚でも文化を体感できる構成になっていました。

未来を体感する音楽空間

オーストリア館で印象的だったのは、すべての展示が「体験ありき」で構成されていたことです。音楽を聴くだけでなく、自分で音を選び、動かし、関わることで、展示が完結する構成になっていました。

「未来を作曲する」というテーマは、単なるスローガンにとどまらず、各所で具体的に体験できる内容になっていました。自分の操作が全体に影響する構造により、来場者が「参加している」と感じやすくなっていた点が印象的でした。

万博会場を訪れる際には、ぜひこのオーストリア館にも足を運び、自分の「音」で未来を表現する体験をしてみてはいかがでしょうか。

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