ベトナムでの日本式学校給食の光景

日本式学校給食で世界の子どもたちの未来をサポート

海外で日本式学校給食が行われている様子を視察しました

 中西製作所(以下、当社)は、2023 年 12 月に日本式学校給食が実施されている小学校 2 校へ、学校給食用保温食缶を寄贈いたしました。それに伴い、ベトナムで行われた寄贈式に参加するため、現地の小学校を訪れました。
 そこでは、日本で実施されている学校給食と近しい光景を見ることが出来ました。今回は、そこで見た海外における日本式学校給食の普及、そして実際どのように実施されていたか、今後の展望を含めてご紹介いたします。
寄贈式の様子
寄贈式の様子

日本式学校給食~海外から高い評価を得る理由~

栄養士による質の高い給食

 日本では、健康増進法により該当の給食施設では栄養士または管理栄養士の設置義務、そして、文部科学省により 1 人あたりの学校給食摂取基準が定められています。そのため、栄養士によって栄養バランスが考え抜かれた学校給食が提供されています。
 また、日本の学校給食では出来合いのものを使うのではなく、その場で手作りし、味にこだわっている学校が多いことも特長です。これに加えて安価であるため、児童や生徒の家庭環境に寄らず「質の高い給食」の提供を実現しています。

食育活動の場としての活用

 日本での学校給食は単なる食事休憩に留まりません。
 地域の伝統的な食文化や季節の行事食等を取り入れ、日本の文化を学んだり、料の生産や消費から自然の恩恵への理解を深めたり、さまざまな取り組みが行われています。
 また、作られた給食を自分たちで配膳・後片付けをするのも日本式学校給食の特徴です。これにより、子どもたちの自主性や協調性を育ませます。
 このように、日本の学校給食は「生きた教材」として、子どもたちが豊かな食生活を送ることができるよう、たくさんの想いが詰められているのです。

ベトナムで実際に視察した海外での日本式学校給食の様子

実際に給食を作っている様子

 今回視察した小学校には、日本で給食委託事業を営む株式会社 CTM サプライ様がベトナムのハノイに設立した現地法人により、日本式学校給食が導入されました。給食のメニュー作りは先に日本人栄養士が行い、その後ベトナムのスタッフがベトナム人の好みや食文化に寄せています。このように、現地の歴史や伝統に基づいた学校給食が提供されています。
食缶にスープをよそっています
食缶にスープをよそっています
今回寄贈した保温食缶
今回寄贈した保温食缶
手作りの給食が作られています
手作りの給食が作られています
視察で頂いたベトナムの給食
視察で頂いたベトナムの給食
 衛生管理についても、株式会社 CTM サプライ様が日本の基準に基づいて現地スタッフへ教育がされているとのことでした。
 また、日本では、食品の衛生管理のために食品の下処理を行うエリア(汚染作業区域)を他の非汚染作業区域から完全に隔離するよう定められています。しかし、視察したベトナムの小学校では、完全な隔離ではなく、別の部屋を使用していました。
 このように、完全に日本式学校給食の特徴を取り入れられているわけではなく、一部は過渡期であることがわかりました。
 下処理室のすぐ右は調理場となっており、手洗いと長靴の履き替えを遵守しています。

給食を頂く子どもたち

 さあ、給食の時間になりました!
 お昼の時間になると子どもたちはランチルームへ向かいます。調理室そばのランチルームでは、子どもたちは 1 列に並び、窓口で 1 人ずつ給食を受け取っていました。
 2階のランチルームを覗いてみると、運ばれてきた食缶から上級生が下級生の食事を取り分けている様子や、取り分けた食事を隣の子に回していく様子等、日本での給食とかなり近しい光景が見られました。
 また、日本で大事にされている「いただきます」のような食事への感謝や年配者を敬う挨拶や、子どもたちによる食事の配膳や後片付けも取り入れられていました。おかわりが欲しい子どもたちは自分でよそいに行く様子も見られました。
みんなの食事を取り分けています
みんなの食事を取り分けています
みんなで食事の準備をしています
みんなで食事の準備をしています


 子供たちが続々とおかわりをよそいに来ます。

   

 食事の前に、感謝の言葉を斉唱してからいただきます。
みんなで一緒に食べるとおいしい!
みんなで一緒に食べるとおいしい!
後片付けも自分でやります
後片付けも自分でやります
 このように、今回の視察では、世界で評価されている日本式学校給食が海外でも近しい形で取り入れられている事例を見ることが出来ました。
 また、現地の食文化を取り入れ、その地域らしい給食メニューが考えられていることや、給食を食べずに一度帰宅して昼食を取る子どもたちもいること等、地域の特性に応じながら学校給食が運営されていることもわかりました。
食べた後はお昼寝の時間です
食べた後はお昼寝の時間です
一旦帰宅して昼食を家で食べる子どもたちもいます
一旦帰宅して昼食を家で食べる子どもたちもいます

今後について

 当社は「いただきますの未来をつくる」をコーポレートスローガンに掲げており、学校給食を主力事業としています。「だれもが公平に、良い教育を受けられる」社会の実現に向け、今後も日本に留まらず、海外市場への展開・社会貢献を行ってまいります。
【参考文献】
1) 平井由紀子.「日本の教育、海を渡る。」.株式会社カナリアコミュニケーションズ.2020.