
中西製作所(以下、当社)では、海外の学校給食の様子や、世界各国に普及し始めている日本式学校給食の状況について調査を行っています!
第5弾となる今回はモンゴルをご紹介いたします。
モンゴルは首都ウランバートルを持つ内陸国です。
広大な草原と山岳地帯が特徴であり、モンゴルの食文化もゲルを用いた遊牧民の生活スタイルに根差し、肉や乳製品が中心となっています。また、モンゴルでは食事は家族やコミュニティでともに食べることが重要視されている特徴があります。
実際の給食や調理機器の写真もご紹介しています!ぜひ最後までご覧ください。
第5弾となる今回はモンゴルをご紹介いたします。
モンゴルは首都ウランバートルを持つ内陸国です。
広大な草原と山岳地帯が特徴であり、モンゴルの食文化もゲルを用いた遊牧民の生活スタイルに根差し、肉や乳製品が中心となっています。また、モンゴルでは食事は家族やコミュニティでともに食べることが重要視されている特徴があります。
実際の給食や調理機器の写真もご紹介しています!ぜひ最後までご覧ください。
目次
モンゴルの学校給食の歴史
モンゴルの学校給食は2006年より、モンゴル国教育科学省(以下、教育省)が全小学校の生徒を対象にパンやおかゆ等の軽食提供を開始したことから始まりました。
背景として、モンゴルの子どもの栄養状況は、6歳~11歳の7.3%が発育阻害、2.8%がやせ型と分類される一方、22%は肥満とされ、低栄養・過栄養が混在した状況であり、栄養バランスを確保した食事の提供が課題となっていたことが挙げられます。
背景として、モンゴルの子どもの栄養状況は、6歳~11歳の7.3%が発育阻害、2.8%がやせ型と分類される一方、22%は肥満とされ、低栄養・過栄養が混在した状況であり、栄養バランスを確保した食事の提供が課題となっていたことが挙げられます。
学校給食と予算の変遷
2020年には軽食制度が給食供給に拡大されました。予算は一食1500トゥグルグ(約67円)まで引き上げられ、予算内で児童一人の一日分の栄養の35%相当の610キロカロリーを提供する目標が掲げられました。
しかし、主食となる牛肉が直近17年間で8.7倍値上がりしている等、物価の高騰を受け、目標達成に対して1500トゥグルグの予算では足りておらず、2023年9月、教育省は国会へ一日の給食予算を約3000トゥグルグに引き上げるよう起案しています。なお、2024年の国家予算へはまだ反映されていません。
しかし、主食となる牛肉が直近17年間で8.7倍値上がりしている等、物価の高騰を受け、目標達成に対して1500トゥグルグの予算では足りておらず、2023年9月、教育省は国会へ一日の給食予算を約3000トゥグルグに引き上げるよう起案しています。なお、2024年の国家予算へはまだ反映されていません。

一方、私立小学校では保護者負担で給食が提供されています。
2024年11月時点、新モンゴル日馬富士学園の給食サービス(バイキング形式)は小学生向けでは一食9500トゥグルグ(約422円)、中学生以上では一食11000トゥグルグ(約488円)で利用できます。
2024年11月時点、新モンゴル日馬富士学園の給食サービス(バイキング形式)は小学生向けでは一食9500トゥグルグ(約422円)、中学生以上では一食11000トゥグルグ(約488円)で利用できます。

また、教育省主導の給食に関する法律には各小学校に栄養士を配置すべきと記載されていますが、詳細な調理手順の記載はありません。一方、保健省から給食で提供してはいけないものが明示されています。
【給食で使って良い食材】
麦類、肉類、野菜、果物、乳製品
【給食で使ってはいけない食材】
ファストフード、ポテトチップス、炭酸飲料、砂糖入飲料、スイーツ、加工油、缶詰食品
【給食で使って良い食材】
麦類、肉類、野菜、果物、乳製品
【給食で使ってはいけない食材】
ファストフード、ポテトチップス、炭酸飲料、砂糖入飲料、スイーツ、加工油、缶詰食品

給食室の様子
教育省の2022年9月から2023年6月までの調査によると、モンゴルの一般教育学校のうち、597校で2020年に施行された給食に関する法律で設けられた基準を満たす専用の給食室が設置されていることがわかりました。一方、224校では基準を満たさない給食室が設置され、9校は給食室が全くない状態です。このような学校へ設備導入や取り換えを進めていくため、2024年には予算が約2億円割り当てられました。
校内で給食室が整備されている学校ではスタッフが調理しており、給食室が設置されていない少数の学校では、外部業者から調達したパン等を提供しています。
校内で給食室が整備されている学校ではスタッフが調理しており、給食室が設置されていない少数の学校では、外部業者から調達したパン等を提供しています。


給食室で使われる調理器具は学区又は学校主導で公募により供給業者を決め、与えられた予算内で調達しています。ウランバートル市公立学校への電話取材によると、中国製の器具や設備が大半を占めるそうです。


また、軽食制度時代は子どもたちが各家庭から食器を持参していましたが、給食制度になってからは学校側で食器を用意する学校が増えています。
ミルクプログラムの導入
子どもたちの栄養不足が問題視され、2024年5月から教育科学省よりウランバートル市と地方で1~12年生を対象に「ミルクプログラム」が導入されました。ウランバートル市の12校では、合計18,000人に、週3回・1回150~200mlの牛乳が供給されています。

まとめ
海外の学校給食シリーズ、第5弾モンゴル編はいかがでしたか。
今までご紹介した国では、学校給食の始まりは1950年代が多かった一方、モンゴルでは比較的歴史が浅いことがわかりました。少しずつ給食の予算の引き上げが進められていますが、十分な内容まで整備されるにはまだ課題が残っています。
中西製作所は、今後も海外の学校給食の調査を続けていきます。ぜひまたご覧ください。
今までご紹介した国では、学校給食の始まりは1950年代が多かった一方、モンゴルでは比較的歴史が浅いことがわかりました。少しずつ給食の予算の引き上げが進められていますが、十分な内容まで整備されるにはまだ課題が残っています。
中西製作所は、今後も海外の学校給食の調査を続けていきます。ぜひまたご覧ください。
参考文献
1) 独立行政法人国際協力機構(JICA)「モンゴル学校給食導入支援プロジェクト」(最終閲覧2025年1月21日)
2) モンゴル国教育科学省「学校給食の製造とサービス」(最終閲覧2025年1月21日)
3) モンゴル国保健省「生徒の昼給食の推奨事項」(最終閲覧2025年1月30日)
4) モンゴル国教育科学省「一般教育学校を段階的に食品生産サービスに移行する計画」Facebook.投稿日2021年1月20日(最終閲覧1月21日)
2) モンゴル国教育科学省「学校給食の製造とサービス」(最終閲覧2025年1月21日)
3) モンゴル国保健省「生徒の昼給食の推奨事項」(最終閲覧2025年1月30日)
4) モンゴル国教育科学省「一般教育学校を段階的に食品生産サービスに移行する計画」Facebook.投稿日2021年1月20日(最終閲覧1月21日)